第1回「スクウェア黄金期の傑作」 クロノトリガー
(SFC/1995年3月11日)
開発・発売:スクウェア(現スクウェア・エニックス)
プレイ状況:3周クリア
あらすじ
 ゲームの中の「現代」である、王国暦1000年。「クロノ・トリガー」の冒険物語は、建国1000年を祝うお祭りの会場でその幕をあけます。
 主人公の「クロノ」はお祭りの会場で一人の少女「マール」に出会います。いっしょに祭りを見物することになった二人は、「クロノ」の幼なじみ「ルッカ」の発明を見に行くことに。「転送装置」と名づけられたその発明に「マール」が挑戦したそのとき、突然彼女のペンダントが輝き出します。そして掻き消えるように消えていく「マール」。
 残された彼女のペンダントを手に、「クロノ」は決死の「マール」救出を決意。そして後を追った先は、なんと400年前の過去!? 
 「クロノ」は「マール」を救出できるのか? 実験失敗とペンダントの関係は? 波瀾含みの展開はやがて時を越えた壮大なストーリーへと変化。あらゆる時代を飛び越えて「クロノ」達の冒険は続いていくのです。

コラム本文(執筆日:2004年10月30日)
 小1の終わり頃に「ミッキーのマジカルアドベンチャー」というアクションゲームを買ってもらいました。これがテレビゲームという物に触れた初めての体験です。当時は2面の後半で詰まってしまい、購入日以来すぐに放り出してしまったのですが、その夜、ふとトイレに起きると、お父さんとお母さんが起きていて、5面ボス相手に頑張っていたのは今でもよく覚えています。(次の日聞いてみると、ちゃんとクリアしたとのこと)
 ……とまぁ小3ぐらいまで、家族全員ゲームやるというような状況だったんです。特にRPG、FF5・FF6・DQ5・トルネコの大冒険等はお父さんが主にプレイして、自分は側で見てるか、時々プレイするような状況でした。しかし、94年後半頃から徐々に比率が自分の方に偏ってきました。そんな中、登場したのが「クロノトリガー」というソフトでした。……そう、これが初めて自力クリアしたソフトなんです。
 「クロノトリガー」の何が凄いかっていうと、周りの所有者でこのゲームの悪口を言った人間がいなかったということ。しかも中学・高校に上がってからふとした拍子に話が出ても、相変わらず悪評は出なかったです。

 他のRPGに比べて、全てが大なり小なり抜きん出ていました。明確に負けてるところが見当たらなかったのが素晴らしいと思います。この陰に、大容量な32MBロム(SFC中期以降で使われた通常より大容量なロム。SO1やTOP等が代表)の採用や、派手に宣伝していた堀井雄二・鳥山明・坂口博信のDREAM PROJECTの面々。そして後にPSでのスクウェア黄金期を引っ張るメインスタッフ陣の力があったことは間違いありません。
 べた褒めする中で特に褒めたいのはストーリーと音楽、そして各種のギミックです。前半のストーリーは王道を貫いていて良かったです。中世の魔王対決編とか。そう、序盤~中盤は各時代に用意された短い話を次々とこなすという感じですね。話が終わったら、別時代に移動してまた別の話に挑むという。時代移動が絡んではいますが複雑な話ではありません。
 それが、がらりと変わるのが後半のストーリー。そもそも時間移動というややこしいネタをメインに据えていたわけですが、自由に時間&飛行移動できるようになる終盤で大活躍でしたね。海底神殿でのとあるキャラの死から始まり、ロボの中世の砂漠→現代の森の話や、原始から長い時間をかけて作る太陽石の話、ストーリー的に一番最後に訪れる古代で初めて会った男の子が、時系列で未来に当たる中世で既に会っていた……等の大きなネタ、さらに封印された宝箱を過去で解除しないテクニック等、攻略に関する小ネタに至るまで見事に詰め込みまくり、活かしまくりました。しかもそれまでの王道的なストーリーの中で張ってきた伏線なんかが纏まり解決していく様子は圧巻の一言。
 音楽も文句なしで素晴らしかったです。SFCでここまでやるかという印象の演出面を良曲がさらに盛り上げてくれました。現代の刑務所脱走の時のドラゴン戦車戦のフィニッシュとか、中世の魔王戦の導入とかは今でも忘れられません。ちなみに一番好きなのは時の回廊(古代/天上界のフィールドBGM)です。
 ミニゲームとか小ネタも多かったですね。雨の時だけどこかに出てくるヌゥとか、祭りの時の行動によって判決が決まる裁判とか、まさか本編に絡むとは思わなかったサーカスの見世物小屋とか。ミニゲーム以外だとルッカの母親を助ける方法があると聞いた時はかなり度肝を抜かされました。大きな所では「強くてニューゲーム」。今では結構ありますが、当時のRPGにはまず無かった物でした。本気でこれが最初じゃないのかと思っていますが、どうなんでしょうか?他にも主人公無しで使える、隠し3人技とか色々ありましたね。
 ラスボス絡みも斬新でした。やろうと思えば、序盤~中盤でも最終ボスに挑めるという。最初、意味あるんかいなと思ってましたが、上記のように2週目があるので、十分に意味があるんです。それどころか、2周目以降解禁される秘密のワープゾーン使えば、ゲーム開始5分でクリア可能というアホ仕様。こういう仕掛けはかなり好きです。あとラスボスの最終形態もかなりネタでしたね。それっぽいのを倒しても死なず、「何でお前死なないんだ!」と思うこと必至。その後の相手の行動を見て初めて「お前が本体かよ!」と驚く、と。ありゃひでぇ。
 エンディングも、上記のいつでもラスボスとバトル可能という仕様に合わせ、シナリオのどの段階で倒したかで分岐するマルチエンディング。ネタエンドからシリアス系までめちゃめちゃ豊富です。しかもかなり短い期間しか見れない隠しエンド状態の物まであるので、制覇しようと思うならば攻略サイト必須ですね。

 かくして「クロノトリガー」は相当な好評を受けました。が、しかし不幸なことに、ウリでもあったDREAM PROJECTのメンバーが当時、RPGを二分していたFFとDQの顔役ということもあり、ファン等からはどっちの陣営にも属さない扱いをされ(実際はメインスタッフ陣、発売元を考えるとスクウェア寄りだったのでしょうが)、後に埋もれてしまった感があります。また豪華メンバーゆえシリーズ化をすることもできず、ますます他の雑多なソフトに埋もれていったのが残念です。
 あ、後にスクウェア陣営がPSでクロノクロスを発売していますが、少々手厳しい反応だったように思います。ゲームそのものはそこまで悪くないのですが、反応の裏にはあのクロノをスクウェア陣営が勝手に作っちゃっていいんだろうか?……という心理があったように思われました。絵師も鳥山明から変わってましたしね。
 今となっては古いソフトなんですが、PSに移植もされてるので、もし安く手に入るならば是非どうぞ。



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